ちいさな島

 
自分でいることの素晴らしさ

1946年に出版され、翌年コールデコット賞を受賞した絵本。
私の母もまだ産まれる前の作品だと思うと、息長く愛されているのだなあと思う。

この絵本に出会ったのは、娘が小学校低学年の時。お昼休みに、当時の勤務先と目と鼻の先にあった八重洲ブックセンターに立ち寄り、絵本コーナーに平積みされていたこの本を何気なく手にとって読んだところ、あまりに感動し、そのまま買い求めた思い出の絵本だ。

その頃、初めて自分のチームを持ったのだが、力不足でマネジメントに四苦八苦していた。システムの障害対応で残業も多かった。娘ともっと一緒にいてあげたいのに、できないもどかしさや罪悪感、自分を責める気持ちが常にあった。たまに立ち寄る八重洲ブックセンターで絵本を買うのは、ささやかな罪滅ぼしだった。

(素敵な絵本に出会った!)と喜び勇んで帰宅し、娘に読み聞かせたが、娘の感想は「つまらない」(笑)小学校低学年の子供には、少し地味だったのかもしれない。

ちいさな島の自然が淡々と描かれ、おおきな出来事は起こらない。でもそこには、味わい深い人生観が二重写しになっているように見えるのである。谷川俊太郎さんの訳で綴られる自然の描写がうつくしく、ほうっと溜め息がでる。

それから数年後、大掃除をしている時に、この絵本を手にした私を見て、娘が「私この本好きだよ!」と言った。時折、読み返していく中で、成長した彼女の内面と呼応する部分がでてきたのだと思うと、しみじみ嬉しかった。

実は私のホームページのタイトルである「想いの島」は、この「ちいさな島」からインスピレーションを得ている。その元となった、私が惹かれてやまない一節を最後に転記したい。

ちいさな島でいることは、すばらしい。
世界につながりながら
じぶんの世界をもち
かがやくあおい海に かこまれて。