昨日のこと。カフェで遅い昼食をとっていると、ひとりの客が店員に「ここタバコ、吸えないの?」と訊いていました。どうも喫煙できると思って入ったようです。
店員は全席禁煙と伝え「この近くですと〇〇の地下、△△に喫煙スペースがあります」と場所も示しながら丁寧に説明しましたが、その客は「席にアイスコーヒーが・・・」「まだ飲んでないので・・」とごにょごにょ言っています。
要は返金して欲しいらしいのです。店員はすぐ「では275円、ご返金することでよろしいですか?」と対応していました。
「手をつけてない」と言っても、アイスコーヒーは廃棄するしかないのだし、ストローや容器も無駄になります。お店の運用上は問題ないのでしょうが、思わず横から口を出したくなるほど、もやもやしました。
なんというか、それは、美しくないと思うのです。
そういう(やっちまった!)は、日常ではままあることだし、何よりお店の非ではありません。(やっちゃったな〜)とおおらかにアイスコーヒーを飲むか、テイクアウトして喫煙所に行けばいいのに、と思います。あるいは、自分にとって失った機会と275円が大切であるのなら、きちんとそう言えばいいのではないでしょうか。
「大変申し訳ないのだけど、返金してもらえませんか?」と。
店員が察して言い出すのを待っている感じもまた、美しくない、と感じてしまいます。
小さいことのようですが、「それは美しいのか」は、私にとって大切な問いです。
傍から見て、ルールとして、あるいは論理的に、間違っていなかったとしても、美しくない選択や行動を、星の数ほど過去にしてきました。客の立場を嵩にきて、お店に感じ悪い物言いをしたことだって、幾度もあります。だからこそ、昨日の場面に心がざわつくのでしょう。昨日の客はきっと、過去の私なのです。
そういう自分への小さな裏切りは、積もり積もって、自分の尊厳をちくちく損なうものだと、最近よく思います。だから、大切にしていこう。私にとっての美しさを。・・・めんどくさいけれど。