ある日

 

ある日 宇宙でドーナツを食べよう
砂糖がけの とびきりのショコラドーナツを
 
神様の知恵の輪は解けたかい?
いや なかなか手強いね
でもふたたび出会った僕ら
 
魂のへその緒で手をつなぎ
永い時と幾つもの銀河を超えてきた
 
ひとつの太陽と ひとつの月を持つ星に
 
かんしゃく持ちの画家が 絵の具をぶちまけたような
感情の色彩うごめく星に
 
感情は 混ざったまま重ねたらいけない
濁って重たくなって 暗闇をひき寄せてしまう
  
僕ら自身がその 何色かわからない感情と
いっしょくたになって 飲みこまれてしまう
   
ひとつ ひとつ
味わうんだ
 
この星にしかない色を
 
カナリアのレモン色
溶岩の燃え立つ赤
夜明け前の空の 透きとおる青
 
からすの風切羽の黒
夏の夕陽のオレンジ
たなびく煙の薄紫
 
味わいつくし
不純物を燃やしつくし
ただひとつの色になった感情
 
やがてそれは
美しく透明な 風船になって昇ってゆく
 
ある日 宇宙でドーナツを食べよう
 
無数の美しい風船が 青い星から 
つぎつぎ放たれるのを眺めながら

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